うどんと焼きだんご

更新日:2024年8月22日

『ところざわ歴史物語』
160から161ページ(6章5節「衣食住」)に掲載

うどんと焼きだんご

市内には多くの「手打ちうどん」屋があり、所沢の味として親しまれています。
台地に位置し、水田の少ない所沢では、昔からうどんが行事の折に膳に上ってきました。例えば正月三が日は、朝が雑煮で、昼にはうどんを食べたそうです。結婚式などおめでたい席でも、うどんは欠かせないものだったといいます。

うどんを打つには、小麦粉に塩と水を混ぜ、足なども使ってよくこねます。めん棒で伸ばして細く切り、釜のたっぷりの湯でゆで上げました。冷たいうどんを温かいしょうゆ味のつけ汁で食べるのが一般的で、ゆでたほうれんそうなどを「かて」として添えました。

手打ちうどんは、作り方がシンプルなだけに経験がものをいう作業でした。おいしいうどんを打てて一人前、とも言われていたそうです。そうした伝統を引き継ぎ、現在も「手打ちうどん自慢」が家庭で、あるいは店で腕を競っているのです。

また、焼きだんごは、小麦粉で作られるうどんとともに、畑作地帯であった所沢の風土に根ざす「郷土の味」です。
だんごは米の粉で作ります。もち米ではなく、うるち米の粉です。水で練って丸め、蒸したものを竹串にさし、しょうゆを塗って炭火などで焼きます。明治時代のだんご屋の組合では、竹串には一面だけ青い皮を残すこと、などの申し合わせがあったそうです。

このようなだんごは、もともと、農作業の間に食べるおやつとして家庭でよく作られていたようです。水田を作ることのできる場所が少ない所沢では、自家用に陸稲おかぼが栽培されてきましたが、炊いて食べるにはぽそぽそしがちなこの陸稲おかぼも、粉にひき、蒸すことでおいしく食べられたのです。
やがて店でも売られるようになり、すっかり名物として定着しました。
注記:陸稲おかぼ:水田ほど水を使わず、畑地でも栽培できる稲の種類。ただ収穫量が少なく、味も水稲に較べて劣るといいます。

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