小茂田青樹写生画

更新日:2022年5月30日

 「小茂田青樹写生画おもだせいじゅしゃせいが」は7点あり、全て紙にコンテで描かれています。山口観音金乗院こんじょういんの屋根の連なりが描かれた作品のほか、田園風景や立木、飯能の子ノ権現から吾野方面の山あいの景色を描いた作品があり、これらは「再興第7回院展」で入選した「麦踏」、「丘に沿へる道」、「外秩父之そとちちぶのあさ」の作品につながるものと思われます。
 作者の小茂田青樹は明治24年(1891)に川越町(現川越市)に生まれ、17歳で松本まつもとふうの主宰する安雅堂画あんがどうがじゅくに入門。その後、今村いまむらこうを中心とした赤曜会せきようかいに参加し、朋友ほうゆうはや御舟ぎょしゅうと競い合うように日本画の革新をめざしました。「再興第6回院展」に2年以上かけて準備した大作が落選し失意の中、所沢・山口観音金乗院に寄寓して再起を目指し、制作に没頭しました。その後、松江に移り住んだ1年は写実的な細密描写を極め、結婚し東京に居を構えてからは装飾的傾向を強めつつ、写実と装飾の融合を追及しました。従来の伝統技法によりながら新たな様式を創り上げようとしたものの、病に冒され、昭和8年(1933)41歳で亡くなりました。
 小茂田青樹が金乗院に寄寓していた時期は狭山時代と呼ばれ、後の作風に強い影響がありました。これらの写生画はその時期に描かれたもので、美術史的に価値があり、また、金乗院の当時の姿や狭山湖に沈んだ勝楽寺村しょうらくじむらの景色を想起させるものも含まれており、美術的・歴史的にも所沢市にとって貴重な資料です。
【指定年月日】令和4年5月2日
【注釈】通常非公開です。ご理解のほど、よろしくお願いいたします。

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