多様な性のあり方について理解を深めましょう

更新日:2022年8月8日

性(セクシュアリティ)のあり方は必ずしも男性と女性の二通りに分類できるいうわけではなく、より多様であるという考え方が広がってきています。
どのような性のあり方も尊重され、すべての人が「自分らしく」いられる社会を実現するために、私たち一人ひとりが理解を深めていくことが大切です。

多様な性のあり方

性のあり方に関わる4つの要素

私たちは出生時に身体的特徴等から男女を判別して、戸籍上の性別(生物学的性)を割り当てられます。
しかし、性のあり方は生物学的性を含め、以下の4つの要素により構成されていると考えられています。
4つの要素は男性か女性の二元論ではなく、連続的なものであり、性のあり方がはっきりとしている人だけではなく、区別できない人、変化する人もいます。

生物学的性
(身体の性)
身体的特徴等(外性器の形状や性染色体)に基づき出生時に割り当てられる性。
性自認
(こころの性)
「自分は男だ/女だ」など本人が自認する性。
男性か、女性かだけでなく、どちらでもない人、どちらでもある人、揺れ動く人、わからないと感じる人もいる。
性的指向
(好きになる性)
恋愛・性愛の対象とする相手の性。対象が両性に向かう場合や恋愛・性愛を抱かない場合もある。何に対して性的関心を感じるかという好み・こだわり(性的嗜好)とは違い、本人の意思で選択できるものではない。
性表現
(ふるまう性)
服装やしぐさ、言葉遣いなど外部に対して表現したい性。性表現=性自認と考えられがちだが、必ず一致するものではない。

LGBTとは

LGBTはレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字を取った言葉で、性的少数者(性的マイノリティ)の総称の一つとして使用されます。

レズビアン 性自認が女性で、性的指向が女性に向かう人。
ゲイ 性自認が男性で、性的指向が男性に向かう人。
バイセクシュアル 性的指向が、同性・異性どちらに向かう場合もある人
トランスジェンダー 性自認が生物学的性と異なる人。

性のあり方はLGBTの4つ以外にも、Qクエスチョニング=自身の性自認や性的指向がわからない、決めていない、迷っている人)、Xエックスジェンダー=性自認が男性・女性のどちらでもない、どちらでもある人)やAアセクシュアル=誰にも恋愛感情や、性的関心を抱かない人)、Pパンセクシュアル=人を好きになるときに、相手の性別が条件にならない人)などがあり、その多様性を包括的に表すために「LGBTQ+」といった言葉が用いられることもあります。
なお、性のあり方において多数派とされる、生物学的性と性自認が一致する人は「シスジェンダー」、性的指向が異性に向いている人は「ヘテロセクシュアル」と呼ばれています。

SOGIとは

SOGI(ソジ)とは性的指向(Sexual-Orientation)と性自認(Gender-Identity)というすべての人が持っている属性の頭文字を組み合わせた言葉です。
SOGIという言葉は、多様な性のあり方がLGBTなどの一部の人だけにかかわる問題ではなく、異性愛者なども含めたすべての人に対して、平等に多様な性のあり方が保障されるべきであるという考えに基づいて、LGBTよりも広い概念を指す言葉として用いられます。

LGBTとSOGIの説明
LGBTが「どんな人」かを表すのに対して、SOGIは「性のあり方を構成する要素」を表しているという違いがあります。

当事者の抱える困難

多様な性のあり方に対する無理解、性的少数者に対する偏見や差別により、当事者は家庭、職場、学校、など様々な場面で困難に直面しています。以下に示しているのはその一例です。

人間関係

・「ホモ」「レズ」「おかま」「おなべ」「オネエ」「ノーマル・アブノーマル」「あっち系・そっち系」などの差別的発言を受けた(「ゲイ」「レズビアン」は差別表現ではありません)
・「しぐさが男みたいだ」とか「女らしさが足りない」とからかわれた
・「男らしく」「女らしく」「男は仕事」「女は家庭」といった価値観を押し付けられた
・カミングアウトしたら、それ以降無視されるようになった
・性的少数者であることを知られてしまうのが怖いので、悩みを誰にも相談できない
・異性パートナーを前提とした言葉(以下のように言い換えましょう)
 夫・妻 → 配偶者、パートナー、お連れの方
 彼氏・彼女 → パートナー、恋人
 お父さん・お母さん → 保護者の方、ご家族の方

何気ない態度や言葉が意図せず、相手を深く傷つけることを心に留めましょう。

職場 ・学校

・自分の性自認である性別のトイレや更衣室に入ることができない
・更衣室、制服が生物学的性でしか選択が認められない

上記以外にも修学旅行や社員旅行、健康診断など様々な場面で困難に直面しています。 また、性的指向や性自認を理由とする解雇や異動、入学拒否、採用時における不利な取扱いなどは決して許されません。

その他

・パートナーの入院や手術の際に、法律上の親族ではないために付き添い、看護、立会いを拒否された
・公的機関や病院で名前を呼ばれ、見た目の性別と一致しないことで周囲から好奇の目で見られ嫌な思いをする

カミングアウトとアウティング

カミングアウト

性的少数者が、自身の性的指向や性自認について他者に打ち明けることです。いつ・誰に・何を・どこまでカミングアウトするかは、本人の自由意志によるべきであり、カミングアウトしようとするのを止めたり、カミングアウトを強制することは不適切です。

アウティング

カミングアウトされた人が、本人の許可なく第三者に話してしまうことです。直接口頭で話す以外にも、SNSなど不特定多数の人に情報を流す行為もアウティングにあたります。アウティングは、信頼を裏切り、相手を深く傷つけ、人格権やプライバシーを侵害する行為であり絶対にしてはいけません。
アウティングされた被害者は他の人から差別を受けたり、からかいの対象になるのではないかと強い不安にさらされ、安心して暮らすこととができなくなってしまうだけでなく、最悪の場合、自ら命を絶ってしまう可能性もあります。

カミングアウトを受けたら

当事者はカミングアウトをする際に「理解してもらえないのでは」「これまでの関係性が壊れてしまわないか」と不安を抱えている場合があります。カミングアウトを受けたときの対応のポイントをご紹介します。

最後まで話を聞く

まずは相手の話に耳を傾け、真摯に向き合うことが大切です。相手の話す内容に対して否定的な発言をしたり、話をさえぎってしまったりすることは望ましくありません。まずは相手の言葉をしっかりと受け止めましょう。

「打ち明けてくれてありがとう」

カミングアウトは「この人なら理解してもらえる」「この人には知っていてもらいたい」と信頼できる相手にすることが多いです。また、より良い関係を構築するためのステップとしてカミングアウトをする場合もあります。相手が自分を信頼し、打ち明けてくれたことに対して「話してくれてありがとう」と伝えてください。

「なにか私にできることはある?」

職場や学校、生活上での困りごとがあってカミングアウトをする場合もあります。
しかし相手の力になりたいと先走ってしまうのは厳禁です。また一人で解決できない場合や、専門家等に相談しなければならないこともあります。そのような場合には、誰にどの程度まで情報を共有してよいか、必ず本人の意向を確認し、了解を得てから対応しましょう。

※たとえ善意による行動だとしても、当事者の意図しない人に情報が伝わることはアウティングに該当します。

いつも通りに接する

カミングアウトをされたからといって、相手が今までと違う人になるわけではありません。これまで通り接するようにしましょう。

所沢市パートナーシップ・ファミリーシップ届出制度

所沢市では多様な性のあり方への理解が進み、誰もが自分らしく暮らせるまちを目指して、では令和4年1月から「所沢市パートナーシップ・ファミリーシップ届出制度」をスタートしています。
制度の詳細はこちら

埼玉県性の多様性を尊重した社会づくり条例

埼玉県では、性の多様性を尊重した社会の実現を目指して「埼玉県性の多様性を尊重した社会づくり条例」が令和4年7月8日に公布・施行されました。
条例の詳細はこちら(外部サイト)

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